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小津安二郎学会
『小津安二郎 大全』(朝日新聞出版)編著者、松浦莞二・宮本明子と若手研究者を中心に結成された、小さな学会です。
「しぼり取る事しか考えない豚共から、逆に吐出させる事の出来るのは私達女だけなんだわ」ーーこれは、小津安二郎『朗かに歩め』(1930)脚本にあった台詞です。おそらく検閲により切られたのでしょう、現在観ることはできないのですが、若き小津はこのような刺激的な台詞が含まれた作品も撮っていました。このような側面はファンはもとより、映画批評家にもあまり知られてはいません。これまでの批評の多くが現存するフィルムを観てのもので、脚本や人物の研究が十分になされてこなかったためです。
脚本に変更をすることはないと思われていた小津が撮影中に脚本の推敲を重ねていたこと、定説に反し撮影で50mm以外のレンズを使用していたこと、黒澤明から脚本や音楽の面で無視できない影響があったことなど、様々なことが近年の研究で明らかになってきています。さらに、映画作品以外でも、映画劇場の設立を構想していたことや、舞台作品を演出していたことなども浮かび上がってきています。
小津安二郎研究はまだ始まったばかりです。それゆえ、新たな事実が多数見つかっています。私たちは調査や研究を通じ、小津安二郎とその作品の理解を深めていきたいと考えています。
新着情報
・野田高梧日記の分析から新たな発見があり、読売新聞に特集いただきました。記事はこちら。
・LAのアカデミー映画博物館で小津特集が催されました。
最終回で松浦莞二・宮本明子が作品解説を担当、チケット完売で好評でした。様子はこちら。
・週刊文春CINEMA 2023秋号の小津ワールド読解講座を監修しました。書籍情報はこちら。
・『改訂新版 小津安二郎・人と仕事』刊行しました。詳細はこちら。
・毎日文化センターの一日講座、宮本明子+松浦莞二でお話します。詳細はこちら。
・俳優:山本富士子への取材を公開しました。記事はこちら。
・小津安二郎シンポジウムの記録を公開しました。記事はこちら。
・漫画家、浦沢直樹、惣領冬実への取材を公開しました。記事はこちら。
・NHK「歴史秘話ヒストリア」小津特集に宮本が出演、書籍とともに放送されました。
番組詳細はこちら。
・「小津安二郎 大全」(朝日新聞出版)刊行しました。お求めはこちら。
運営者紹介
松浦莞二 映像作家・映画研究者
映像作家として多数のCM・短編映画を制作、世界各国で上映される一方、2016年頃から小津研究を本格化。2019年には『小津安二郎 大全』(共編著:宮本明子)を朝日新聞出版より刊行。企画から調査、執筆、編集まで全工程を手掛けた。本格伝記や全60作品分析、小津組や出演俳優への取材のほか、加瀬亮、ペドロ・コスタなど多彩な寄稿も収録した。刊行後に、読売、朝日、毎日新聞やキネマ旬報、週刊新潮、サンデー毎日など各紙で紹介され、「最新かつ最高」など高い評価を得た。
最新作に、小津を知る上で欠かせない一冊とされながら長年絶版となっていた書籍を復刻した『新装版 小津安二郎・人と仕事』(企画、編纂主任)。
主な研究実績は以下。
・「伝記 小津安二郎」執筆。小津両親の離婚経験や、宝塚歌劇の演出の構想、最晩年の女性二人を主人公にした新作構想など、多数の新発見と共にまとめた。最も完成度の高い評伝の一つ。
・「小津安二郎 全作品ディテール小事典」執筆。脚本や未完成作品も含む全60作品の精密調査を行なった。『浮草物語』の主題歌発掘や、『晩春』のサイクリングロード特定、黒澤明『野良犬』からの音楽的影響など、多数の新発見と共にまとめた。また新しい論点として、第一作でのジョン・フォードからの影響、『女房紛失』に登場するルパンやホームズ、『長屋紳士録』の特異な舞台設定、『一人息子』で流された発売禁止歌、『お早よう』の主題曲分析なども取り上げた。これらも本格調査がなされたのは初めてのことと言えるだろう。
・短編映画『小津安二郎物語』監督(共同監督:折田英五)。YouTubeで小津を描く作品として最大級の約10万再生(累計)を獲得。
・小津組への取材:川又昻、篠田正浩、末松光次郎、田中康義、田邉皓一、山内静夫ほか。
・出演者への取材:岩下志麻、香川京子、司葉子、長谷部朋香・千村洋子、山本富士子。
・小津関連取材:浦沢直樹、坂本龍一、惣領冬実、ミシェル・シオンほか。
・小津が定説に反して40mmレンズも使用していたことの発見と分析。
・小津少年期の絵画、中国出征時に撮影した写真のデジタル修復。
・周防正行、保坂和志、北村薫、長門洋平らとの鼎・対談。
・国際映画学会:SCMSなど国内外での映画研究発表。
・早稲田大学・関西大学他での特別講義。
宮本明子 映画研究者
同志社女子大学表象文化学部准教授。博士(文学)。早稲田大学大学院で日本文学、日本映画を学ぶ。学生時代に映像制作会社での編集助手、映画祭企画運営などを通じて映画の魅力に触れ、小津安二郎監督直筆資料の存在を知る。以降、小津安二郎を中心に、映画台本やノートなどの調査、関係者への取材を進めてきた。2019年に『小津安二郎 大全』を刊行(松浦莞二との共編著)。
映画資料の保存、展開のための活動も進めている。立命館大学アート・リサーチセンターでの共同研究「「京都ニュース」の保存と活用プロジェクト」や、新・雲呼荘 野田高梧記念 蓼科シナリオ研究所との脚本家野田高梧の手帳の翻刻を実践中。
最新刊に、『台本からたどる小津安二郎』。小津組助監督を務めた田中康義の『豆腐屋はオカラもつくる 映画監督小津安二郎のこと』に編集協力。同書は「キネマ旬報ベストテン」樋口尚文が選ぶベストテン1位に選出された。
研究や執筆に加えて、講演会やイベントにも力を入れている。早稲田大学で開催したシンポジウム「OZU2020」では、石井妙子、周防正行、望月智充らとのトーク、大島渚監督「私のベレット」上映での進行を務め、好評を博した。このほか、FM三重、NHK「歴史秘話ヒストリア」(2020年9月9日放送)などに出演。
論文・隨筆募集のお知らせ
小津安二郎学会では論文・隨筆を募集しています。ご関心ある方は概要(300字以内)を下記フォームまでご連絡ください。
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