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小津安二郎を知り、考えるための書籍・映画・ウェブサイト

初級(小津作品をほとんど見たことがない人におすすめ)

​『小津安二郎新発見』(松竹株式会社編、講談社、1993年)

小津の映画に出演した俳優の紹介、スタッフらの寄稿、全作品の簡単な紹介と年表で構成されている。俳優や撮影現場などの写真が多く読みやすく、入門者でも小津安二郎に関する基礎知識を得られる。なお、新発見と題されているのは、小津を新たな見地から発見しようという主旨であろう。最新の研究などを知りたい人は本書を手がかりに、他の本も読み進めると良いだろう。

 

『日本映画監督列伝①小津安二郎の謎』(園村昌弘原作、中村真理子作画、小津家監修、小学館、1999年)
30歳頃から晩年までの小津の生涯が漫画で描かれる。小津はどんな生涯を送ったのか、どんな監督だったのか、まだよく知らないという人にもお勧めできる。小津家が監修しており、客観的事実に基づき描かれている。監督になるまでがあまり描かれていないことが惜しまれる。

小津安二郎物語』2012年)

小津をその人生、脚本、撮影、音楽の四面から描く短編映画。YouTubeに掲載中で累計再生は約10万(作品はこちら​→)。入門者が小津を知のに最良の教材であろう。

『BRUTUS』2013年12/1号(マガジンハウス、2013年11月)

小津作品を見たことのない読者でも楽しめる工夫がなされている。数値や図で解説される基礎知識のほか、山田太一が語る小津映画とテレビドラマの比較、写真家ホンマタカシによる撮影の分析など、新しい切り口からも。雑誌なのでカラー写真やイラストも多く理解しやすい。本書の掲げる「小津の入り口」としては最適で発見も多数ある。

こちらもおすすめ

『考える人』(新潮社、2007年2月)

小津特集が約50頁にまとめられており入門者に向いている。野田高梧長女への取材など、深い内容も。

『小津安二郎』(良品計画、2017年)
「無印良品」の良品計画が刊行。小津の言葉や珍しい随筆も掲載。

中級(作品をいくつか見たことがあり、さらに深く知りたい人におすすめ)

改訂新版 小津安二郎・人と仕事』(原著発行者:井上和男 編纂:松浦莞二・宮本明子、小津安二郎学会、2022年

佐藤忠男『小津安二郎の芸術』やドナルド・リチー『小津安二郎の美学』と共に、小津研究の基礎を築いた書籍の改訂新版。ほとんどの小津組の俳優、スタッフらが寄稿、座談しており、小津とその作品を知る上で欠かせない。最新の研究を基に修正や編注も加えられ、より正確な内容になった。これまでは非常に高価な古書が流通していたのみであったが、手に入りやすくなった。

『小津安二郎を読む 古きものの美しい復権』(フィルムアート社編、フィルムアート社、1982年)

200頁を超える全作品解説と100頁にわたる事典が柱となっている。事典では、「酒」「時計」「ポスター」など、小津映画に現れるもの、ことを多数紹介し作品を分析。逆引き事典のようにも使える。

『陽の当たる家 小津安二郎とともに』(井上和男、フィルムアート社、1993年)

小津組の俳優やスタッフら38名の回想や証言が300頁にわたって収録されている。小津の妹弟や中学時代の同窓生らが語る小津の人となり、代用教員時代の教え子が語る小津など、映画制作以外の話も多い。撮影監督厚田雄春や美術を担当した浜田辰雄ら、スタッフへの取材も面白く、もっと読みたいと思われる箇所もある。

『小津安二郎 大全』(松浦莞二・宮本明子編著、朝日新聞出版、2019年)

小津映画の俳優やスタッフ、国内外の文化人らが小津とその作品を論じる。新発見を多数含む100頁にわたる現時点で最も詳細な完全版伝記に加えて、フィルムが現存しない作品を含む全60作品の分析など新しい試みが連なる。幼少期の絵画、小津が中国で撮影した写真など、貴重な資料も多い。

こちらもおすすめ

『キネマ旬報』1964年2月増刊(キネマ旬報社、19642月)
小津没後翌年に刊行された。手に入りづらいが、スタッフや関係者の生々しい証言が90頁にわたって掲載されている。
『絢爛たる影絵』
(高橋治、文藝春秋社、1982年)
『東京物語』の助監督を務めていた筆者による評伝。興味深い内容がある一方、これは高橋の「作家の真実」だとの指摘も多い。

『KAWADE夢ムック小津安二郎』(河出書房新社、2001年)

特集本だが、他では滅多に読めない脚本『愉しき哉保吉君』や、『その夜の妻』と『晩春』の原作短編が採録されている。

他資料

上記以外に、映画『生きてはみたけれど 小津安二郎伝』井上和男監督、1983)、小津と語(田中康義監督、1993年)も面白い。ともに鑑賞の機会が少ないのが悔やまれる。『豆腐屋はオカラもつくる――映画監督小津安二郎のこと』(田中康義、龜鳴屋、2018年)は直接小津を知る著者ならではの記述が多い。

 

上級(全作品を見たことがあり、さらに深く知りたい人におすすめ)

『監督 小津安二郎〈増補決定版〉』(蓮實重彥、筑摩書房、1983年)

批評家蓮實重彥の小津論。田中眞澄が資料の編纂や調査から小津研究を進めたのに対し、蓮實は映画を徹底して見ることで、見過ごされがちな小津の映画の特徴を明らかにしている。世間に流布する、小津は日本的、何も起こらない映画だといったイメージの再考を促した。「食べること」「着換えること」など論点は明確だが、文章がやや難解である。

『小津安二郎全発言〈1933~1945〉』(田中眞澄編、泰流社、1987年)

1933年から1945年までの小津の発言をまとめている。記者との一問一答、座談会での発言のほか、従軍時の取材も収められている。みずからの作品を振り返った「自作を語る」や、国内外の映画・監督評もある。小津はしばしば記者を煙に巻く発言もしているので注意も必要である。

『小津安二郎物語』(厚田雄春・蓮實重彥、筑摩書房、1989年)

小津安二郎を支えた撮影監督:厚田雄春への取材記録。厚田が初めて小津作品についた第2作『若人の夢』から遺作『秋刀魚の味』までの、撮影手法や裏話が縦横無尽に語られる。厚田の発言の中には、50ミリレンズは使っていないなど一部誤りもあるが、小津の撮影に関心のある人は必読。

『小津安二郎戦後語録集成』(田中眞澄編、フィルムアート社、1989年)

『小津安二郎全発言〈1933~1945〉』に続く、1946年から1963年までの記録。関連記事や日誌も対象にしている。映画の演出は必ずしも常識に縛られる必要はないと述べた「映画の文法」も掲載。カラー作品への移行が遅かった小津の認識が窺える「渋いアグファに」など、小津を知る上で見逃せない記録が並ぶ。

『若き日の小津安二郎』(中村博男、キネマ旬報社、2000年)

小津の生誕から、青春時代までが記されている。他の書籍ではあまり触れられない、小津が監督になるまでの足跡をたどれる。受験当日に映画館に行っていることなど具体的な記述があり、小津の若い時代に関心がある場合は必読。『全日記小津安二郎』にも掲載されていない、中学時代の日記が引用されている。

こちらもおすすめ

『小津安二郎の芸術』(佐藤忠男、朝日新聞社、1971年)
時系列に小津の生い立ちと作品が論じられている。批評に関心のある人には必読の一冊。
『デジタル小津安二郎展――キャメラマン厚田雄春の視』(坂村健・蓮實重彥編、東京大学総合研究博物館、1998年)
東京大学で開催された展覧会の本。厚田の遺族が寄贈した『東京物語』のネガフィルムや、厚田の日記が掲載されている。
『小津安二郎の反映画』
(吉田喜重、岩波書店、1998年)
吉田喜重監督による興味深い小津論。映像版もある。吉田は小津と深い交流があった訳ではないと指摘する声もある。
『望郷の小津安二郎』(登重樹、皓星社、2017年)
あまり語られてこなかった幼少期や若手時代、終戦までを中心として小津が丹念に描かれている。

他資料

ヴィム・ヴェンダースによる映画『東京画』1985年)​は独自の視点から小津が語られ、また、撮影監督・厚田雄春への取材もある。小津安二郎に憑かれた男 美術監督・下河原友雄の生と死』(永井健児、フィルムアート社、1990年)は、小津を私淑し『小早川家の秋』などで美術監督を務めた下河原と小津の書籍で他にはない切り口。『キネマ旬報』1994年7月7日号(キネマ旬報社)には1940年版『お茶漬の味』の脚本が掲載されており非常に貴重。

超上級(研究や批評を書きたい方、極めたい人におすすめ)

『小津安二郎の美学』(ドナルド・リチー著、山本喜久男訳、フィルムアート社、1978年)

小津安二郎に複数回会っていた筆者による書籍。海外で最も知られている小津の書籍の一つ。研究が進んだ今となっては物足りないところもあるが、小津研究の基礎となった一冊。小津作品の脚本や撮影だけでなく編集の分析も行われており、伝記も掲載されている。一方、日本の文化についてやや表面的な理解にとどまる箇所もある。

『小津安二郎 映画の詩学』(デヴィッド・ボードウェル著、杉山昭夫訳、青土社、2003年)

米国を代表する映画研究者による書籍。全作品のカット数を調査するなど、小津映画を詳細かつ緻密に分析している。内容はかなり難解で娯楽性を追求しているものではないが、映画研究者、批評家は必読の書であろう。

『小津安二郎全集[上]』・『小津安二郎全集[下]』(井上和男編、新書館、2003年)

現存する小津の執筆したほぼ全ての脚本を掲載し、解説を付す。掲載されていない作品は、戦前版の『お茶漬の味』(『キネマ旬報』1994年7月7日号他に掲載あり)、『限りなき前進』(『KAWADE夢ムック 小津安二郎 永遠の映画』に掲載あり)のみ。解題で出典が明示されていないのが惜しまれるが、興味深いエピソードや制作の裏話が並ぶ。

こちらもおすすめ

『聖なる映画――小津 ブレッソン ドライヤー』(ポール・シュレイダー著、山本喜久男訳、フィルムアート社、1981年)
『タクシードライバー』脚本家による評論。禅思想との関連などやや強引な面もみられるが、興味深い内容。
『全日記小津安二郎』
(田中眞澄編、フィルムアート社、1993年)
1933年から1963年までの日記で資料として貴重だが、日記のみの掲載なので読み物として娯楽性を求める読者には向かない。
全国小津安二郎ネットワークhttps://ozu-net.com
「小津監督を巡る文献・資料」のページでは、1927年の「蒲田週報」以降の情報を確認でき貴重である。

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